小禄墓


去る沖縄戦では数多くの人々が亡くなった激戦の地「嘉数高台」の北側には、中城村境にある琉球大学構内より延々と4.5kmも長く続き、国道58号線をこえて西海岸へと流れる比屋良川があります。
市内でも数少ない緑豊かなその川筋の両脇には、そそり立つ十メートル余りの断崖を、多い所で三段も横穴状に彫り込んだ数百年にさかのぼる古い墓軍が連なっています。
小禄墓は、そうした川べりの急な崖の中腹を彫り込んで、前面を切り石や自然の雑石でふさいだ古い形の墓です。
墓の大きさは幅8.5m、高さ2.4mを測りますが、葬式の時に御矯(肩にかつぐ輿)がそのまま入ると伝えるように、普段の墓口とは別に石積み部分に目地がついていて、幅1.7m、高さ2.4mの範囲がいつでも取り外せるように工夫されています。